0120-12-2943

平日:
土日祝:

9:00~18:00
9:00~17:00

介護で腰痛になるのを防ぐ!原因・対策・手軽にできるエクササイズ

被介護者のいる家庭で、介護者の悩みになりやすいのが「腰痛」です。介護の現場では、介護者の腰に負担のかかる動作が数多くあります。腰痛の痛みを感じながら介護を行うことは、介護者にとって大きなストレスになります。
今回は、介護と腰痛の関係をはじめ、腰痛を防ぐ工夫、エクササイズなど、介護が原因で起こる腰痛への対処法をご紹介します。

介護で腰痛になるのを防ぐイメージ1

介護と腰痛の関係

介護は腰痛につながりやすいといわれます。実際にどれくらいの人が介護による腰痛に悩んでいるのか、具体的な数字を見てみましょう。

腰痛災害の発生状況

厚生労働省の「保健衛生業における腰痛の予防」によると、職場における腰痛発生件数は、昭和53年をピークとして長期的に減少したものの、社会福祉施設や医療保健業が含まれる保健衛生業においては、集計を開始した平成5年以降、発生件数が増加を続けています。
保健衛生業の腰痛発生率(死傷年千人率)は全業種平均(0.1)を大幅に上回る0.25であることからも、介護・看護作業における腰痛予防対策の推進が重要な課題となっています。

職業別で見ると、介護業務を含む「保健衛生業」が約24パーセントを占めており、商業・金融・広告業の19パーセント、製造業の16パーセントを上回って最多という結果になっています。介護士や看護師などは、被介護者や患者に対応する際、腰に負担のかかる動きをすることが多く、それが腰痛の要因と考えられます。

介護の際に腰を痛めやすい姿勢

移乗介助やトイレ介助、入浴介助などで前傾姿勢や中腰、腰をひねる動作をするのは介護の仕事に付きものです。腰をかがめた状態で介護を行い、その姿勢をとり続けると、腰痛の要因になります。

腰痛を引き起こす介護業務

腰痛の要因になりやすい介護業務について解説します。実際に行うときは、腰への負担がかかりすぎていないか、十分に注意しましょう。

移乗介助

移乗介助とは、被介護者をベッドから車いす、車いすから便器といったように移して乗せることを意味します。介護者は、被介護者の腰やお尻、膝などを支えたり抱えたりして移乗させます。
また、日常生活の中で全体的に介助が必要な「全介助」なのか、部分的に介助が必要な「一部介助」なのかによって、介護者の腰への負担度は変わります。

入浴介助

入浴介助とは、一人では入浴できない被介護者の入浴を助けることです。入浴は身体を清潔にするだけでなく、血行を良くしたり、心身をリラックスさせるのに役立つ大事な介護です。被介護者を浴槽へ移動させる際や、頭や背中を洗ったり拭いたりするときに、かがんだり被介護者の身体を支えたりする必要があるため、腰に負担がかかりやすくなります。

トイレ介助

被介護者が排泄を行う際、車椅子からトイレに移乗させるほか、要介護度に応じて、介護者がズボンの上げ下ろしや陰部を拭くなどの作業を行います。移乗させる際に被介護者を支える必要があるほか、ズボンの上げ下げなどで介護者が中腰になることがあり、腰への負担が生じます。

おむつ交換

要介護度が進んでトイレに座れなくなったら、おむつを使用します。その際、介護者は被介護者のズボンや下着を脱がせ、陰部の洗浄を行い、おむつを交換します。寝た状態の被介護者に対して行うため、前傾姿勢の状態での作業が15分程度に及ぶのが一般的です。そのため、介護者の腰への負担が大きくなり、腰痛の原因につながります。

体位交換

被介護者が寝たきりで、自分で寝返りを打つことが難しい場合、床ずれなどを防ぐため、介護者が定期的に体位を変えてあげることが必要です。仰向けで寝ている被介護者の肩や太ももの下から腕を入れて、横向きにするなどの措置を行います。介護者が前傾姿勢や中腰になって行うため、腰痛になりやすい作業です。

更衣介助

着替えが困難な被介護者に対し、洋服の着脱などを行います。被介護者が寝た状態のまま行うため、腰をひねったり中腰になる動作が多くなります。さらに、身体に麻痺などの症状がある被介護者の場合は着脱させるのに時間がかかるため、介護者の腰に負担がかりやすくなります。

介護で腰痛になるのを防ぐイメージ2

腰痛にならないための対策

介護者の負担を減らすための工夫・改善をすることで、腰痛を防いだり症状を和らげることが可能です。ここでは、腰痛を防ぐ方法を具体的に解説します。

腰を曲げるのではなく、腰を落とす

介護を行う際は、腰を曲げたりかがんだりするのではなく、身体の重心ごと低めに落とすようにしましょう。足をしっかりと開いて腰を落とす姿勢は、安全性が高くおすすめです。また、食事介助など座った状態で介護を行う際も腰を曲げず、姿勢を正して行うことを意識しましょう。

持ち上げるのではなく、スライドさせる

移乗の際に被介護者を持ち上げると、介護者の腰に負担がかかる上、転倒などの危険性もあります。車椅子とベッドを近づけ、持ち上げるのではなく、ボードなどの福祉用具を使ってスライドするように移乗させると、腰痛になりにくいでしょう。

被介護者にできる限りのことはやってもらう

被介護者の日常生活のサポートを介護者がすべて行うのではなく、できる範囲のことは被介護者自身にさせることも大切です。介護者の負担が減るだけでなく、被介護者の自立支援にもつながります。
ただし、本人の能力以上のことを無理にさせようとするとストレスにつながるため、被介護者の状況に応じて考えましょう。

グッズを活用する

骨盤を正しい位置に保つ骨盤ベルトや、腰をサポートする腰痛ベルト(コルセット)などのグッズを活用することで、腰痛の症状を和らげられます。
また、介護の負担を減らすための福祉用具の活用もおすすめです。被介護者を持ち上げずにベッドや車椅子などに水平移乗させられる移乗シートやボードのほか、電動リフトや多機能型車椅子などがあります。
介護保険でレンタルできる福祉用具(ベッド、車イス)を活用することで被介護者だけでなく介護者の負担を軽減することにもなるため、積極的にレンタルすることをお勧めします。

エクササイズをする

単なエクササイズや体操を行うことは、腰まわりの筋肉をほぐしたり血行を促進させるため、腰痛予防の効果があります。同じ姿勢をとることが多い分、身体を動かすことで全身の柔軟性がアップし、心身のリラックスにつながるでしょう。

腰痛を予防するストレッチ

介護における腰痛の予防には、適度なストレッチがおすすめです。ここでは、自宅で簡単にできるストレッチをご紹介します。

上半身のストレッチ

  1. 立ったまま手すりをつかんだり机に両手をついたりして、両腕を伸ばした状態で腰を90度くらいまで深く曲げて前かがみの姿勢になります。
  2. 20~30秒程度、同じ姿勢をキープし、背中の筋肉を1~3回伸ばします。その際、反動をつけず、伸ばす筋肉を意識しながら行うのがポイントです。

背中のストレッチ

  1. 手すりを両手でつかみ、足を開いて立ったまま、しゃがむように腰を落とします。
  2. 20~30秒程度、同じ姿勢をキープし、背中を1~3回ほど伸ばします。背中の筋肉を意識しながら、ゆっくりと伸ばしましょう。

太もも(前側)のストレッチ

  1. 手すりや椅子の背もたれ、机などを片手でつかみます。
  2. もう片方の手で片足のつま先をつかみ、後ろへ引き上げます。
  3. 20~30秒程度、同じ姿勢をキープし、1~3回、太もも前側の筋肉をしっかり伸ばします。その際、筋肉の動きを意識しながら行うのがポイントです。
  4. 手と足を左右変えて、同じ動きを行います。

ふくらはぎのストレッチ

  1. 手すりや椅子の背もたれ、机などを両手でつかみます。
  2. 片足を軽く曲げて前に出し、もう片足は後ろへ伸ばします。アキレス腱を伸ばす運動のときと形は似ています。
  3. 20~30秒程度、同じ姿勢をキープし、1~3回、ふくらはぎの筋肉をしっかり伸ばします。その際、筋肉の動きを意識しながら行うのがポイントです。
  4. 手と足を左右変えて、同じ動きを行います。
介護で腰痛になるのを防ぐイメージ3

介護者の負担を軽減させることが介護を長く続けるコツ

介護と長く付き合うためには、腰痛を予防する工夫を日常的に行い、できるだけ介護者の負担を軽減させることが大切です。疲れたときは適度に休息を取り、身体を休めましょう。それが精神面のリラックスにもつながります。
今回ご紹介した内容を参考に、腰痛予防に意識して取り組んでみてください。

この記事の監修者

在宅緩和ケア充実診療所・機能強化型在宅療養支援診療所
城北さくらクリニック
院長 犬丸秀雄
HP:http://houmon-shinryo.jp/jsc/

日本大学医学部卒業後、日本大学板橋病院(麻酔科・救命救急・ICU)を経て、赤塚駅前クリニックを開業し往診も行う。平成24年より、東京都練馬区を中心に訪問診療専門の診療所を開設。
24時間体制、コールセンター設置等を整備し、医師11名・看護師5名(令和3年6月現在)でご自宅や施設へ訪問診療を行っている。

※本記事の内容は、公的機関の掲出物ではありません。記事掲載日時点の情報に基づき作成しておりますが、最新の情報を保証するものではございません。

ご相談・お問合せ

受付時間【平日】9:00~18:00 【土日祝日】9:00~17:00

電話 見学予約 資料請求