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車椅子の種類と特徴|各部位の機能から正しく選ぶためのポイントまで

座ったまま移動ができる車椅子は、歩行が困難な人にとっての重要な移動手段です。高齢化が進み、利用者のニーズが多様化するにつれ、操作が簡単なものや多機能で介護者・被介護者双方にやさしいものなど、車椅子の種類も豊富になりました。使う機会が増えるほど、自分の体の一部のように感じられるような最適な車椅子を選びたいものです。
今回は、車椅子の使用や買い替えを検討している人のために、車椅子の種類や機能、選ぶときのポイントについてご紹介します。

車椅子の種類イメージ1

車椅子の種類と特徴

利用者にとってベストな車椅子を選ぶには、まず種類とそれぞれの特徴を把握しておくことが重要です。

自走用と介助用

大きく分けると、利用者が自分でこぐことができる「自走用」と、利用者以外の人が操作する「介助用」があります。兼用できるタイプもありますが、ここでは自走用と介助用それぞれの特徴をご説明します。

・自走用
利用者が自分でこいで進めるように、後輪にハンドルがついています。バッテリーとモーターが搭載された電動タイプもあります。背中部分についている介護者の手押し用のハンドルには、ブレーキがついているものとついていないものがあります。後輪の大きさは約20~24インチと大きめのものが多く、小さな力でも動かしやすいのが特徴です。安定感があり、低い段差であれば乗り越えることができます。介助用に比べるとやや大きいので、使用場所の通路幅や、車に乗せる必要性の有無などを確認しましょう。

・介助用
主に介護者が後ろから操作するタイプの車椅子で、手押し用のハンドルにブレーキがついています。後輪に自走用のようなハンドルはついていません。後輪の大きさは12~18インチと比較的小さめのものが多く、通路の狭いところなどでも小回りが利くという特徴があります。自走用の車椅子よりも軽量でコンパクトな点もメリットです。折りたたんで持ち運ぶことが多い介護者には便利です。自走用に比べると安定感がやや劣るので、移乗する際などは転倒しないように注意が必要です。

車椅子の種類

形や機能によって、車椅子の種類はさらに以下のように分けることができます。

【スタンダードタイプ】
病院や自宅などで多く使われている標準的な車椅子です。座面、背もたれ、車輪など、必要な部品は一通りそろっていて、初心者でも気軽に使い始めることができます。

【多機能・モジュールタイプ】
車椅子の各部品が動いたり角度が自由に調節できたりするタイプです。スタンダードタイプに比べて機能的で、利用者の体の大きさやニーズに合わせやすいという特徴があります。

【ティルト・リクライニングタイプ】
座面と背もたれが連動して倒れる機能を「ティルト」といい、背もたれのみが倒れる機能を「リクライニング」といいます。倒れることにより、座位(座っている状態)によるお尻や太ももにかかる体重を背中や腰に分散できるというメリットがあります。また、座位の姿勢を長時間保てない場合にも便利です。

【6輪タイプ】
一般的な車椅子は4輪ですが、もう2輪増えたタイプの車椅子です。6輪になることにより、駆動輪(普通の車椅子でいう後輪)が座面の真下にくるので、手で操作をするのが楽になります。また、小回りが利き、曲がり角のある通路などでも操作しやすいというメリットがあります。

【電動タイプ】
バッテリーやモーターが搭載され、手元のコントローラー(ジョイスティック)を使って操作する車椅子です。片手を動かせればいいので、力が弱い人でも練習さえすれば乗りこなせるでしょう。介護者側の押す力が小さくても動かせるアシストタイプもあります。坂道を頻繁に使用する人に向いています。

車椅子の種類イメージ2

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車椅子の部位と役割

タイヤやハンドルなど、車椅子の各部位の役割を把握しておけば、実際にお店で購入するときや聞きたいことがあるときに、具体的な質問ができるでしょう。

一般的な車椅子

標準的な車椅子の主な部位は以下の通りです。

【手押しハンドル・介助ブレーキ】
介護者が車椅子を押すときに持つ部分です。介助用車椅子にはブレーキがついています。自転車のハンドルとブレーキのような造りになっていて、握るとブレーキがかかります。

【背もたれ】
座ったときに背中を支える部分です。「バックサポート」という場合もあります。利用者が楽になるためだけでなく、姿勢を保持する役割もあります。

【アームサポート(ひじ当て)】
利用者が座ったときに、腕を置く部分です。楽な姿勢を保てる以外にも、立ったり座ったりするときにつかまって身体を支える役割もあります。

【サイドガード】
アームサポートの下の部分で、利用者の衣服がタイヤに当たったり、巻き込まれたりすることを防ぎます。

【座シート】
利用者が座る部分です。長時間座っても疲れにくいように、クッションを乗せているものもあります。座り心地や快適さを左右する重要な部分です。

【タイヤ】
一般的な車椅子には4輪あり、前輪が小さく、後輪が大きいのが普通です。前輪は「自在輪」や「キャスター」と呼ばれ、360度回転します。後輪は「駆動輪」と呼ばれ、このタイヤを回転させることで車椅子が動きます。クッション性のあるエアタイヤ、空気を入れる手間やパンクの心配がいらないノーパンクタイヤなど、さまざまな種類があります。

【ハンドリム】
自走できるように、駆動輪の外側についている持ち手の部分です。駆動輪よりも一回り小さく、利用者は座ってここを握り、後ろから前に送る動作を繰り返して前進します。後ろに送ると後進します。

【ブレーキ】
車椅子を停車するときに動かないようにする部分です。駆動輪に部品を押し付け、回転しないようにします。

【フレーム】
車椅子を支える金属の部分です。軽い素材を使うと軽量で持ち運びがしやすくなり、重い素材を使うと丈夫で安定感のある車椅子になります。

【ティッピングレバー】
介護者のちょうど足元にあり、前輪を浮かせる際に踏み込む部分です。段差を乗り越えるときなどに使います。

【レッグサポート・フットサポート】
足首からふくらはぎ周辺を支える部分をレッグサポートといい、足を乗せるプレートの部分をフットサポートといいます。レッグサポートとフットサポートが一体になっているものもあります。車椅子を動かすときに足も使うようであれば、レッグサポートとフットサポートが折りたためるタイプのものがおすすめです。

電動車椅子

標準的な車椅子に加えて、電動の車椅子には主に以下のような部位があります。

・コントローラー
主電源や速度の調節ができるスイッチ、方向転換のためのジョイスティックなどがある部分のことです。コントローラーを操作することで、車椅子を利用者の思い通りに動かせます。

・クラッチレバー
車椅子を手動で使いたいときに切り替えるレバーです。介護者の足元か、駆動輪の後ろ側についているものが一般的です。

・バッテリー
車椅子を電動で動かすために必要な電力を蓄える部分です。車椅子に内蔵されているものもあります。

・充電器
バッテリーの電力を補充します。バッテリーと一緒に車椅子に内蔵されているタイプや、車椅子から取り外したバッテリーを乗せて充電するタイプなどがあります。

車椅子の種類イメージ3

車椅子に備わっている機能

車椅子には、乗る人の利便性を考えたさまざまな機能がついています。利用者の身体の状態に合わせて必要な機能を採用すれば、生活の質もぐんと上がるでしょう。

背折れ機能

背もたれの部分を折りたたんでコンパクトにできる機能です。収納したり、車に積み込んだりするときに便利です。

ひじ掛け上げ機能

移乗するときに邪魔にならないように、ひじ掛けの部分(アームサポート)を上げられる機能です。取り外しができるものもあります。高さを変えられるタイプであれば、利用者の体の大きさに合わせて調節できます。

背シート張り調整機能

背もたれの部分の張り具合を調整できる機能です。利用者の背中が曲がっていたり、腹筋が弱かったりして座位が不安定な場合、張りを調整すると背中を支えて姿勢の保持を助けてくれます。

スイングアウト機能

レッグサポートやフットサポートを左右に動かせる機能です。取り外しができるタイプもあります。移乗や立ち上がり、足こぎをしたいときにこの機能を活用すると、邪魔にならず便利です。

エレベーティング機能

レッグサポートやフットサポートの部分が上がり、角度を調節できる機能です。ひざを曲げられない人が、脚を伸ばした状態にしておきたいときなどに活用できます。

車椅子の種類イメージ4

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車椅子を選ぶときのポイント

いざ車椅子を選ぶときに後悔しないためのチェックポイントをご紹介します。

利用者の体形を考慮

利用する人の体にフィットし、ストレスなく使えることを一番に考えましょう。
床から座シートまでの高さを「前座高」といいますが、前座高が高すぎても低すぎても良い姿勢はとれません。目安は、ひざの裏から足裏までの長さ+5センチ(足こぎをする場合は、+0~2センチ)。座面にクッションを利用する場合は、その厚みを引いて計算してください。

座シートの幅は、座ったときのお尻の一番広い長さ+3~5センチ足した長さが適しているといわれます。広いほうがゆったり座れて楽と思われがちですが、姿勢の保持が難しくなったり、操作がしづらくなったりすることがあります。

背もたれは約40センチの高さで、肩甲骨の下まであることが目安です。利用者の状態によっては、背もたれの上につけられて頭を支えるヘッドサポートの導入を検討しましょう。

※上記の数値はあくまでも目安です。実際に購入やレンタルする際は、利用者が車椅子に乗り、実際の乗り心地などを確かめることが大切です。

介護者の状況を考慮

利用者のサポートをする介護者が使いやすいかどうかも重要なポイントです。ハンドルの高さは、介護者が軽くひじを曲げて力を入れやすいかどうかが目安です。介護者に合わせてハンドルの高さを調節できるタイプもあるので、そちらを検討しても良いでしょう。

介護者が介護に費やせる時間も考慮します。介護者に仕事などがあって、一日中付きっきりで介護できない場合は、利用者ができる限り自分で操作できるような機能が搭載され、長時間座っていても疲れにくいものを選びましょう。

使用環境を考慮

バリアフリーが整っているかどうか、屋内か屋外か、通路の幅は広いかどうかなど、車椅子を使用する環境によって、必要な機能や大きさは異なります。
また、車椅子以外の介護用品と併用する場合、高さが合っているか、ほかの介護用品の機能を妨げることがないか、といったことも考慮する必要があります。

利用者の「できること」を優先した車椅子選びを

車椅子には、利用者や介護者の負担を軽くする便利な機能がついているため、生活の大部分でつい頼ってしまいがちですが、利用者の身体状況を考慮し、自力で「できること」を減らさないことが大切です。自走できる力がある人には自走用のものを、足でこぐことができる人にはスイングアウト機能があるものを、それぞれ選ぶようにしましょう。車椅子は、あくまでも移動範囲を広げ、より生活を豊かにするためのものです。
最近では、コンパクトに折りたためる旅行用のものもあるので、生活に上手に取り入れ、利用者、介護者ともに楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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※本記事の内容は、公的機関の掲出物ではありません。記事掲載日時点の情報に基づき作成しておりますが、最新の情報を保証するものではございません。

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